「ホウ!」と新聞を読んでいた母ちゃんが声をあげた。
近頃珍しく、心温まる記事をみつけたらしい。 ある猫が2軒の家の間で、「郵便配達」をしているという。 首に手紙袋をかけてもらってひょいと出かけるんだそうだ。 この猫もエライが、手紙をしたためる人はもっとエライ! ケータイメールばかりが蔓延する世の中で、わざわざ紙の便りを出すことは稀になってきている。 いい話だなあ。 ケータイを持ってはいるが緊急時以外は使わない母ちゃん、ホクホク喜んでいる。
人間界の方は、相変わらず凶悪な犯罪や汚職、偽装の記事ばかりである。 それに自殺も激増しているのではないか。 母ちゃんは毎朝クルマで通勤しているのだが、ラジオから「~線は人身事故のため~分の遅れが出ています」というニュースをほとんど毎日のように聞く。 これって鉄道自殺でしょう?
文明社会の諸問題がいよいよ煮詰まって、手遅れ一歩手前にまで来ていることを、常識ある人間は日々刻々肌で感じている。 母ちゃんが子供の頃、人類は月面に足を踏み入れた。 TVで東京オリンピックを見、それからの日常生活は便利なモノであふれかえった。 母ちゃんも一時はそれらを享受していたけれど、10数年前ケータイ電話機が普及し始めた頃から、疑問を持つようになった。 「これって便利だけど、悪いことにも使える?!」
それにコンビニが24時間営業になり、深夜店の前にたむろする青少年の姿が増えてきて、「親は知ってるのか?!」と余計な心配が始まった。
そして今、家庭も学校も社会も、危機的な状況にある。 親は子供がケータイでどんなに危ないサイトに近づいているか把握していないし、そもそも家族一緒に食事を取ることすら稀であるという。 会社では、新入社員が上司の注意を受け流し、「後でケータイのメールに入れといてください」と平気でほざくんだそうだ。 オレは以前から言ってるけど、人間って、このヘンで考え方変えないと滅亡するよ。 そして、辞書から以下のコトバを削除してね。
「畜生道」→ 人の道を踏み外すこと
「獣じみた」→ 理性を失うこと
オレたち、本気で「名誉毀損」と思っているよ。