ご近所の猫ジジが天国へ旅立った。 心臓発作で倒れて3日、ジジは家族の励ましに答えようと、最期まで生きる努力を続け、自力で水飲み場やトイレに行こうと頑張っていた。
8年前、この家族は近所に捨てられていた2匹の子猫を保護した。 一匹は丈夫な雌猫だったが、他の一匹は視力のほとんどない雄猫であった。 それがジジである。 心優しい家族に囲まれ、目は見えなくても温かい環境のもとですくすくと育ち、けっこう自己主張もするでっかいオトナ猫に成長した。
数年前、このお宅の家族全員がアメリカ旅行で家を留守にした時、猫たちのお世話をさせていただいたことがある(これはお互い様で、私の猫たちも大変お世話になっている)。 私はワクワクしながらそのお宅に侵入して猫トイレの始末やゴハンの補充をしたものだが、その時、このジジにシャーっと威嚇され、冷や汗をかいた経験があるのだ。 うわっと引いたけれど、後からよく考えれば、ジジはこの家を・この家族を、かけがえのないものと思って、侵入者警戒モードに入っていたのだ。 自分たちを拾って育ててくれた家族が留守をしている、その家を妹と2匹で守らねばならないと必死で頑張っていたのである。
そのジジがいなくなった。 ご家族の気持ちを思うと辛い。 喪失の痛手を癒すものは「時」しかないと、私自身わかっている。 でも、ジジは幸せな猫だったと思う。 人間も動物も植物も、あらゆる命がないがしろにされる今の世で、こんなにも愛し愛され、守り守られ、去っていったジジのことを、私は忘れることが出来ないだろう。
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