31 猫嫌いは猫好きになる! 

 

   台風が近づいていると言うのに、母ちゃんがホクホクごきげん顔で帰宅した。 
「ぶん、あのコ、無事に育ってるって!」
あのコとは、先日、母ちゃんが職場の敷地内で保護して、その後さる女性に引き取られた子猫のことだ。 目やに・かさぶたで顔を覆われた汚い子猫であったが、なんと、声をかけた最初のヒトが里親になってくれたのである。 母ちゃんは、脳髄がしびれて息が止まるくらい嬉しかった。 めったにない事だったから。

   「その人に会えて、その後のことを聞けたんだよ」
と母ちゃんは興奮している。
「パパが猫嫌いなんだけど、私と娘で飼います」
とその女性は決然と言った。 その時、母ちゃんは、
「いや、猫嫌いを自称してるヒトほど、機会があれば、クラッと猫好きになります」
と断言したのだ。 過去の経験から言って、その確率は高い。 だが、物事には例外も付きものである。 それがココロに澱んで、母ちゃんは何日か落ち着かない日々を過ごしたのである。 
「やっぱりね~。 アタシが言った通りになったよ」
そのお宅では、問題のパパが数日後には顔中を笑み崩して子猫の頭を撫でるようになり、可愛い・可愛いを連発するようになったんだそうだ。 やったね!
 

   何でだろう。 里親をお願いする際、「家族に猫嫌いがいるから」というのはお断り理由の一つなんだけど、そのご本人、実際に子猫に接すると、めろめろにとろけてしまうケースが多い。 オレたち猫族の不思議なパワーだね。  この事については、次回でも述べたいと思います。  ぶんより