オレは猫の身ながら、日本人のハヤリモノ好きにおおいに疑問を抱いている。 彼らはマスコミの巧みな煽動によってある日突然、ぶわっとあるヒト・あるモノを大波の頂上に持ち上げる。 頂上の主人公がイイ気になってると、ある日突然足元の波はササッと引いてゆき、ハヤリモノは空中に取り残され、無残な舞を舞う。 こういう事が数十年来繰り返されているのに、まだ懲りずにやっている。
バッグや靴やタレントなんかはいいよ。 でも、オレは「ペットブーム」という言葉だけは嫌いだ。 流行だからというんで生き物を安易に飼わないで欲しい。 そういうヒトは飽きたら捨てるのだ。 躾が出来ない、世話が面倒だってんで放り出すのだ。 カネモチほどその傾向が強いんじゃないか? かくして、ちやほやされた高価な血統書つきの犬猫が、保健所にあふれかえることになる。
オレたち、ハヤリモノでなくてよかった。 ハヤリモノが大嫌いな偏屈な母ちゃんに拾われてよかった。 母ちゃんはけっしてオレたちに贅沢をさせず、刺身なんか食わしてもらったこともないし、わるさをすれば「このクソ猫~、捨てるぞ」と怒鳴られる。 でも、母ちゃんはオレたちを捨てることはないだろう。 オレは勝手にそう思い込んでいる。
そんなある日。 今度は「朝バナナダイエット」なるものがハヤリだし、スーパーの棚の上からバナナが消えた。 日本人って、ホント懲りないんだね。