母ちゃんは朝刊を読んで顔を曇らせた。 読者の投稿欄に、野良の母犬が子犬を育てているという記事を見つけたのである。 人間が我が子を簡単に捨てたり殺したりする今の世にあっては、犬の方が立派に見えるのも無理はない。 だが、母ちゃんの心配は、その犬の親子も保健所に連れて行かれたらおしまいだという事だ。
自分が生んだ子を我が身を削ってでも育てる、という仕事は、全ての動物の本能に組み込まれている。 哺乳類の場合は、子供が独り立ちするまで必死に育てた後、次の子を宿すために前の子を巣から追い出すのである。 だが、人間だけが最近どうも様子がおかしい。 小さい子供がいても簡単に夫婦別れをして、さっさと次の相手をみつける。 人間は一人前になるまでに相当の時間が必要だから、それまで待つのは大変なのかもしれない。 昔のように子供のために我慢をして好きでもない配偶者とくっついているのは、愚の骨頂だと考えるのだろう。 隠忍というコトバは死語になった。
だが、子供の気持ちはどうなのだろう。 ママに恋人が出来ました。 ママが幸せそうなんでボクも嬉しいです。 預けられたおばあちゃんのウチで、ボクは元気にやってます。 と、こういうことになるんだろうか。
この問題は難しい。 ウチの「母ちゃん」は、自分で子を産んでいないから、好き勝手なことを吹いていると思われても仕方がない。 実際にエライ苦労をしたのは「母ちゃん」の母親である。 また、今現在頑張って働いてるシングルマザーの方々にも頭を下げたい。 オレたちだって去勢・避妊手術されてるから、エラソーなことは言えない。 万物の霊長である人間サン、特に若い世代・幼い世代にエールを送ることしか出来ないのであります。
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