「こたつから猫もあきれて顔を出し」
有名な古川柳である。 こたつで暖まっている男女が、他人に見えないのをいいことに、中で手を握ったりしてイチャイチャしている。 それを猫の立場を借りて、誰かがやっかんで詠んだものに相違なかろう。
猫は昔から日本庶民の生活に寄り添って生きてきたので、文芸上でも多方面に引用されている。 しかも、不名誉な引用が多い。
①「猫の手も借りたい」→ 忙しい時は有能でない者にも仕事を振りたいほどだ
②「猫の額ほどの」 → 狭い庭
③「猫の目のように」 → ころころ方針を変える
④「猫ばば」 → 他人の金をくすねること
要するに、悪い事・不都合な事の基準を、全部オレたち猫に振って、しゃあしゃあと暮らしているのが人間サマだよ。 オレたちは本当は有能な狩人なんだけど、ヒマな時は人間がうらやむほどリラックスしてるから、それを羨んだ人間どもがこんな慣用句をひねり出したんだ。
上記の語句だって、②以外は、どこかの国のおえらいサンたちに当てはまると思うんだけどね。 もっとも、庶民は②さえも得られないのが現状で、従ってオレたち飼い猫の多くは、ウンチを埋める自然の土など見たことがなく、工業製品の猫砂や木のチップに頼っているのが現状である。