45 母ちゃんと篤姫

 

   母ちゃんは自他共に認める偏屈である。 ケータイ、ゲーム機、大嫌い。 近頃の歌手やタレントの名前は覚えるのも面倒、世間で話題の健康法には無関心。 ハヤリのモノにも店にも近づかない。 こんなんで社会生活を送っていけるんだろうか。 他人との会話に不自由しないんだろうか。 オレは常々心配で仕方ない。
 

   めったに外食はしないが、たまに入ったレストランで、「ライス、パン、どちらになさいますか」と聞かれると、むきになって「ごはん!」と吼えることからでも、尋常一様の偏屈ではないことが知れよう。  これには、同席するヒトも閉口する。
 

  ただ、偏屈のくせにカンだけはいい。 今年度のNHK大河ドラマ「篤姫」が大変好評だったことについては、母ちゃん、大いばりで次のように言う。 「アタシが7・8年前、原作を文庫本で読んだ時、これを大河でやれば当たるな、と直感したけど、その通りになったじゃないか」 
 主演女優の熱演、支える芸達者の脇役たち、原作に手を加えた脚本家の意図、それぞれが皆いい方向に働いて、このたびの大成功につながったんだね。 別に母ちゃんの予言とは関係ないさ。 母ちゃんは、「ケッ、なんだあ、この小娘は」と罵倒しながらも辛抱強く全50回を見続け、終わる頃には「まあ、コイツも頑張ったな」と珍しく褒めた。 

  ああ、こんな飼い主と毎日付き合ってるオレのほうこそ、「お役目、ご苦労に存じまする」と時代劇風に声をかけてほしいものですよ。

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