黒猫ぶんの子育て日記

   暮の２９日～３０日、母ちゃんは東京在住の知人と共に、故郷の町へ親族の墓参りに行ってきた。　その帰りの夜の新幹線が、小田原駅での人身事故で大幅に遅れたのである。　今回は一泊だけということもあり、母ちゃんはご近所の猫友達にオレたちの世話を頼んでいかなかった。　もちろん、猫カリカリ（ドライフード）はてんこ盛りにしていったけど。
　

   緊急停車・徐行を繰り返す上りの「のぞみ号」の中、車内のニュース画面には謎の字句が並ぶだけである。　「小田原駅で人が線路に立ち入りのぞみ号に触車した」　・・・「触車」って何だ？　そんな日本語初めて聞くぞ。　アナウンスもほとんどなかった。　母ちゃんはその日のうちに帰宅できなかったら、オレたち猫がパニックになると心配し、胃がよじれるような思いを味わった。
　

   母ちゃんには前々から予感があった。　世の中の状況がこうまで悪くなってくると、自殺や犯罪がますます増えるのではないか、と。　でもまさか、この夜、こんな形で自分たちに影響を及ぼすとは思いもよらなかった。（深夜帰宅）
　翌３１日の朝刊には、新幹線小田原駅で女性がはねられたという事だけは書いてあった。　同行した知人はもっと悲惨な目に遭った。　乗り換えた中央線で、またも人身事故、彼女の帰宅は午前２時近くになったらしい。
　

　　　もし、この二件の事故が飛び込み自殺であるならば、一晩に二回彼女の受けた衝撃はいかばかりであろう。　いや、それよりも、自ら命を絶つ人がこれほど増えていることを、為政者はご存知なのであろうか。　
　　　

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