49 子役と子猫

 

   今年のNHK大河ドラマの主人公は直江兼継ということだ。 やっと「いぶし銀」的存在が陽の目を見たじゃないかと、母ちゃんはたいそう機嫌よく、日曜夜8時には缶ビールのふたを開けてTVの前に座り込んでいる。
 

   実は、これにはまた別のワケがあるのだ。 母ちゃんは、直江兼継の幼児期を演じる子役さんの演技に参ってしまったのである。 イケメン俳優とかジャニーズ系とか、そういう輩を知らず興味もない母ちゃんは、年齢に関わらず、ひたすら存在感のある役者に惹かれるのである。 五歳で親元を離れ寺の学問所に入れられた兼継が、母を慕って「わしはこんな所には来とうなかったのじゃ」と泣き叫ぶシーンが、脇を締めるオトナの演技を圧倒して光っていた。 

   コドモというのは、時として、オトナの常識の枠をはるかに超えた所で、無意識に光彩を放つから恐ろしい。 本人は、うまくやってやろうなどという欲とは無縁で、ただひたすら持っているエネルギーをぶつけてくる。(そう言えば昔「おしん」という連続TVドラマがあった。 戦前の東北の寒村に生まれ、不条理の時代を必死に生き抜いていく女性の少女期を、懸命に演じた子役さんがいて、世界何十カ国で放映され好評を博したのだった) 
 

   子猫の可愛さも、人間にとってはこれと似たようなものであろう。 彼らも日々無心に狩の学習をする。 何に手を出し、どこへぶっ飛んでいくか分からない子猫に、毎日の憂さを晴らしてもらっているヒトは多い。 だけどなあ、人間も猫も、親は大変なんだよ。 これでもオレはちびとトメの育ての親。 見ているだけの人はいいよなあ。 
   

   

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