母ちゃんが夜遅く帰ってきた。 東京ドームでのサイモン&ガーファンクル・最後の日本公演を聴きに行ったのである。 なにしろ、東京ドームに行くのも初めてなら、S&Gを見るのも初めて、という超エクサイティングな「個人的事件」である。 加えて、アリーナ席まで埋め尽くした聴衆は7万人以上ではなかったろうか。 実は母ちゃんはこんなに沢山の人間が一堂に会したのを見たことがないのである。 何もかも初めて尽くしのビッグ・イベントであった。
会場は、60歳前後の夫婦連れが目立って多かった。 彼らは青春時代、スカボローフェアなどの名曲に酔いしれた思い出を共有しているのだ。 母ちゃんとその同行者はそのころ小学校5・6年であったから、ファンとしてはちょっと早熟な年代であったかもしれない。 二人とも今でもその当時のLP版レコードを宝物のように大切にとってある。
母ちゃんはS&Gの曲が大好きではあるが、不幸な事に重度のオンチで、それによる劣等感でガチガチの鎧をまとっているから、リズムに合わせての手拍子・足踏みというものができない。 同行者のOさんは音楽への造詣も深く、音感も情趣も豊かな人であるから、全身で反応し、好きな曲が歌われると涙を流して感動していた。 母ちゃんはこういう素直なヒトの姿を見るのが好きである。
Oさんは、公演終了後の母ちゃんの質問「ところで、どっちがサイモンなの?」という質問にのけぞったことであろう。 「おまえはそれでもファンなのかよ~!」と心中叫びたかったに相違ない。 母ちゃんのココロのひん曲がり具合・ズッコケの実態は、一緒に暮らしているオレたち猫族しか知らないのですよ。 Oさん、ごめんなさいネ。 長男:ぶんより
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