2008年6月

 

   この1週間、寝不足である。 バカ子猫のトメが、深夜、部屋中駆け回った挙句、カーテンをフックごと引きずり下ろし、派手にバサッと落とす音で目が覚めるのである。 末っ子ということで、トメは義理?の兄(ぶん)姉(ちび)に思う存分甘やかされて育った。 ちびは顔つきが怖いので、写真マンガでは「怖いお姉ちゃん」という損な役を演じているが、実際はぶんを見習って面倒見のいい健気なムスメである。 
 

   さて、真夜中の攻防戦で負けたのは、やはり、「母ちゃん」の私であった。 1年前のリフォームの後で気に入った柄のカーテンを買う時も、なんだか悪い予感がして、「コレから先、また猫を拾うかも。 そしたら、高級品なんて買えない。 どうせ引っかかれる」と怖気づいたのである(どちらにしろ、高級品を買うカネなんか残っていなかった)。 
 それが、まんまと当たった。 ぶんとちびが健気にも遠慮して残しておいたモノは、新参子猫によって壊滅的な被害を受け、ぬいぐるみは糸玉に、カーテンは古雑巾になってしまった。
 

   このところ、私はひどい頭痛に悩まされている。 右後頭部をハンマーで叩かれるような痛みが断続的に襲ってくる。 生まれて初めての経験で、医者にかかっても原因がハッキリしない。 30代・40代の知人がこのところ数人亡くなっているので、少々不安である。 めぼしい財産はないし、人間の係累もいないから問題はないが、私がいなくなると猫3匹が路頭に迷うことになる。 早々に引き取り手を決めておいたほうがいいかも知れない。 
 

 ところが、意外なことに、中年オヤジ猫「ぶん」と、人相(猫相?)の悪い「ちび」には応援団がいるのだけど、愛くるしい子猫の「トメ」にはこれといったファンがついていないのだ。 これは何を意味するのか? たぶん、「ぶん」や「ちび」の苦労、心の屈折まで思いやってくださる人生の達人が多いのではないか。 ありがたいことではある。