昔は、「赤ん坊のいる家では猫が飼えない」と言われたものだ。 乳臭い赤ん坊に猫が噛み付くから危険、というのが理由である。 私は以前からこの説には疑問を抱いていたが、このほど、堂々と反証を挙げられるようになった。
先日お邪魔させていただいたUさん宅では、結婚して家を出た娘さん・K子さんと、1歳何ヶ月かになる孫のAちゃんが里帰りしているところであった。 Aちゃんは可愛い盛りの女の子、しかもかなり活発で公園の砂場でダイビングなどを楽しんでいるらしい。 その日、突然の闖入者にビックリしてしばらく固まっていたが、やがてマイペースで行動し始めた。 U家には2匹の猫がいる。 そのうちの1匹をトコトコ追いかけ始めたのだ。 (ちなみにU家の猫達は、娘時代のK子さんが拾って慈しんだ猫である)
Aちゃんとその猫のラリーは、見ていて飽きないものがあった。 猫は、追いかけてくるAちゃんに気付いて、最初は「ちえっ、しょーがねえな」みたいな顔をした。 だがすぐに、シッポ(その猫のは長い)を振り立てて揺り動かし、「こっちだよ、こっちへおいで~」と言うように、Aちゃんのヨロヨロ歩きを、ゆっくりと先導し始めたのである。 しかも、Aちゃんがちゃんとついてきているかどうかを確認するため、何度も何度も振り返って見ていた。
猫をバカだとか自分勝手だとか言う人は多いが、生き物として、自分より幼い者・非力な者を守ってやらねば、という気持ちの持ち方に変わりはないのではないか。 近頃、新聞やニュースを騒がしている人間サン、見習ってほしいものです。