ウチの猫は「にゃあ」と鳴かない

 

   猫の鳴き声は「にゃあ」と相場が決まっているものだ。 英語では”mew”(ミュー)というらしい。 これほど定着しているものに異を唱えるわけではないが、ウチの3匹の猫の鳴き声は、これらとは全く違って聞こえる。
 

  まず、ぶん。 いつも我儘なオンナ猫どもに翻弄されて疲れている彼は、小さく「うにい」と鳴く。 「あのう、オレ疲れてるんですけど~」と遠慮がちに訴えるような声である。 次にちび。 彼女は「ぐるぐるぐ~」と鳴くことが多い。 これは子育て中の母猫が子猫を呼ぶ時の声に近い。 実際、年下の手のかかる猫を抱えているので、いろいろと擬似母親の役割が回ってきて、ついにこんな声になってしまったのであろう。 最後にトメ。 怖いものなしの駄々っ子の発する雄叫び(雌だけど)は、「ウゲッ。ウゲゲゲッ」である。 何なんだ、これ? 飼い主の私には「あたいのやることに文句あっか」というトメの恫喝に聞こえる。 

  ことほどさように、猫の鳴き声も千差万別、個性を発揮し尽くし、毎日付き合っている人間としては退屈しない。 私は子供を生んだことはないが、人間の「お母さん」もさぞ、日々子供たちの発する声で、彼らの心身の状態を推し量り、一喜一憂されているのだろう。
 

  唯一、我が家の猫どもが揃って同じ声を上げるのは、ベランダの向こうに鳥の姿を認めた時である。 このときばかりは皆、瞳孔を開き、「クカカカカ」と叫んで窓ガラスにかじりつく。 狩猟本能を刺激されると、この声が出るらしい。
   

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