史上最悪の猫

 物心ついて以来、私は身近に動物のいる環境で育った。とりわけ、猫が多かった。総計30匹以上にはなるだろう。皆、拾い猫やそれらが産んだ子ばかりである。その中で、今飼っているトメほど悪いヤツはいない。
 
 「もう猫を拾うのはこれで最後」という意味をこめて名付けたこの猫、今まで飼った猫にはないキャラクターの集大成である。まず、頻繁に飼い主の布団やかばんにオシッコを垂れる。成猫になってもカーテンのぼりをやってぼろ雑巾状態にする。水を前足ですくって飲んで周囲に散らかす。飼い主に抱っこされると引っ掻いて逃げる。お客さんのアタマをかじる。
 
 人間側の都合からすれば、こんなヤツ、捨てられても文句は言えないはずだ。それでもこんな名前をつけた私が悪いのかと我慢して飼っている。しかし、ヤツの側の意識としては、私に「飼われている」のではなく、私を「飼っている」つもりなのだろう。
 
 トメによる被害総額は30万円近くになる。他の2匹の猫たちは、「母ちゃんのバカっ、お人よし~」という目線で私を見、それに耐える日々が続く。人間の子供を産み育てる苦労をしたことのない私は、これくらいの損害は仕方ないかとあきらめの境地に至り、毎日ため息をついているのである。

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