平成の浮世風呂

   私は毎週土日、スポーツクラブのプールで1キロ泳ぐことにしている。ここの常連さんは60代から80代の高齢者がほとんどで、自分のペースを乱さず、ゆっくりと長時間泳ぐ人が多い。私などはほんの「ひよっこ」、大先輩方には礼を尽くして接しているので、中には可愛がって下さる方もあり、自宅でとれた野菜などをいただくこともある。
 面白いのは中年女性である。プールには来ないで、サウナや風呂に入って喋りまくり、すっきりした顔で帰っていく。自宅の風呂のガス代を節約し、サウナで減量を狙い、おしゃべりでストレス発散をしているワケだ。だが、帰りがけにジムの隣のレストランでパフェなどぱくついているから、減量効果は限りなく怪しい。
 思うにここは、平成の浮世風呂。江戸時代、庶民は湯屋で一日の疲れを取ると同時に、居合わせた人々とのコミュニケーションを楽しんでいたというが、時を経ても庶民のやることは基本的に同じだ。
 「おっかあ、湯ぅいってくらあ。イワシ焼いて待っててくんな」という亭主の声が、今では「あなた、サウナ行ってくるから、洗い物やっといてね」という女房の命令に変わっているかも知れないが。

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