三番目の拾い猫は、飼い主の、「もうこれ以上拾えない、ストップだぁ」の思いを込めて、とめと名付けられた。しかも、綺麗なトラ縞のちびと違い、何やら判然としない色・模様でぶさいくな顔だち。
このとめがいたずらをすると、飼い主は「こらぁ、このブス猫め」と叱る。ヘンな名前を付けられた上にブス呼ばわり。とめはグレて、飼い主の布団にオシッコを垂れる猫になってしまった。飼い主ととめとの熾烈な闘いはこのころから始まったのである。
それだけでも頭が痛かったのに、さらに困った事態が発生。とめは成長して色気が出てくると(たとえ去勢されても本能は残っている)、ぶんを恋い慕って後を追うようになった。そうなると、ちびとはライバルである。イケメンのぶんを挟んで、オンナ同士の闘いまで始まってしまい、わが家は騒乱の巷の様相を呈した。
考えてみると、いがみあっているのは飼い主も含めてオンナ3匹。我が家でただ一匹のオトコ・ぶんは争い事を好まぬ穏やかな性格で、ケンカが始まると「困ったもんだ」という顔つきで、あらぬ方向を向いていた。ちびはどうだったか。彼女のとめに対する気持ちは、「母親代わりに育ててやった恩も忘れて、あたしの男に言い寄ろうとしてる。許せん!この小娘」であったろう。
さりながら、寒い時期には、3匹がだんごになって仲良く狭い椅子の上に寝ていた。私はこれを見るのが好きで、いつまで見ていても飽きなかった。面白いことに、必ずぶんが真ん中で、その両側にオンナどもがくっつくのである。彼女ら同士はけっしてくっつかない。人間関係ならぬ「猫関係」のありように、興味津々の私であった。(続く)